サウナに入って究極のリラックス状態になることを、サウナー達のあいだではととのうと表現します。脳内麻薬がドバドバ出る、宇宙と一体化する、天へ召されるなど様々な表現があり、もはや危険な香りすら漂っていますね。私自身サウナが得意でなく、あまり積極的に入らなかったこともあり、その領域は完全に未知です。
しかし昨今のサウナブームがあり、その感覚がどのようなものか、体験しておかねばというある種の強迫観念。そんななかでついにサウナの取材記事の執筆をすることになり、ととのうについて触れないわけにはいかなくなった。そんなわけでこのたび、ととのいを求めて【サウナ→水風呂→外気浴】を5セット、初体験してきました。
施設概要
今回ととのいの舞台として選んだのは、東京都大田区、天然温泉平和島。大田区民なら誰もが「ああ、ボートレース場の」とリアクションする、大変歴史ある有名な施設です。
サウナは、シャイニングスパの一般的なサウナ、ビューイングスパのミストサウナ、岩盤浴のロウリュサウナと3種類。今回は同席してくれたサウナの先輩(以降パイセン)オススメ、一番温度の高いシャイニングスパのサウナで、サウナ→水風呂→外気浴(クールダウンルーム)を5セット実施、ととのいを追い求めてきました。
サウナのスペックとしては、
2段着席式
20人程収容可能
温度は92度くらい
テレビあり
人の出入りは結構ある
水風呂は
常に循環して温度は一定
22度くらい
クールダウンルームは
約20度
4人くらいでいっぱい
腰掛けられる
こんなところです。それでは早速サウナにはいってみましょう。
【1セット目】はいる前の準備がわかってない
まず1セット目にはいる前に体を洗って入浴し、熱さに慣らしました。そういえばサウナーの方々はどんな風に準備をしてからサウナにはいるのか、まったく勉強してなかった…とにかく体を熱に慣らしとけ、という判断です。
サウナには常時5〜6人はいっており、入れ替わりも激しかったです。テレビでは巨大うなぎを捕まえる番組が放送されていました。まずはサウナストーンのすぐ向かいの上段に着席。初回はパイセンからととのうためのコツを聞き、2セット目以降取り入れていきます。
「おれは一回のサウナは5〜6分だよ」とアドバイスをいただき、6分程度で退出。サウナはあまり得意ではなかったはずなのに、意外と余裕でした。出入りがある分室内の温度が落ちていたのかもしれません。
寿命が縮むと自分の中で噂の水風呂。やはり肩まで浸かるのに勢いが必要でしたが、はいって体温の衣さえ纏えばなんとかなる感じでした。「ととのいは外気浴の時にやってくるよ」というアドバイスにのっとり、冬場の外気を模したクールダウンルームへ。ボーッとしたととのいへの入り口みたいなものを感じ、いざ2セット目へまいります。
【2セット目】物足りなくなる
ととのいが見えてきたところで2回目のサウナにはいってみると、どこか1セット目より体の芯まで温まらない感じに陥りました。汗の出もあきらかに遅い。水風呂の時間が長すぎたのかな…
今回も6分で水風呂にイン。気になってパイセンに聞いてみました。
「初心者のくせに生意気だとは思うんですが、なんか物足りなくないですか?」
「90度はこんな感じだよ。」
どうやら私の感性がずれているよう。水風呂を短めにしてクールダウンルームでととのいを待ちます。ところが1セット目よりととのいが見えない…この物足りなさが原因な気がする。次はサウナストーンの横を陣どろうと決意し3セット目に向かいます。
【3セット目】寿命が縮まらなくなる
残念ながらサウナストーン横は先客があり、先ほどと同じ場所へ。温度感を意識したからか、それともサウナ温度が調整されたのか、クールダウンの時間を調整したからか…なかなかにいい温度を感じ取れました。テレビ番組も巨大うなぎ捕獲からガチな釣り番組へ移行し、サウナ室内に真剣味がでたのもよかったのかもしれません。
ここで変化が出てきたのは水風呂。もはや苦手だった冷たい感覚は消え、当たり前のように水風呂に入っている自分がいました。慣れ…なのか…? こうしてどんどん冷たい水風呂を求めるのかなぁ…なんて思いました。ちなみにパイセンによると水温一桁の水風呂を「シングル」と呼ぶのだそう。かっけえ。
意識してクールダウンするも、ととのいは訪れず。だんだんと、こうしてただ単にサウナにはいっている時間がなんとも贅沢だなと感じるようになってきました。
【4セット目】常温の椅子がベスポジかも
ついにサウナストーブ横の席をゲット、腰掛けるとマットがびしょびしょ。やはり人気の席のようです。サウナストーンから発生した熱が頭をじっくりと撫でていく…熱を感じるぞ! てか頭だけ熱いぞ!! 熱から頭を守るサウナハットの理論を思い出し、頭からタオルを被ります。うーん、体全体を均一に暖めたほうがいい気がしました。
水風呂はもはや慣れたもので、かけ湯から一気に肩まで浸かります。さて、いかに整うか…クールダウンルームへ向かうと、なんと満室。ということでビューイングスパのベンチへ。外気浴感ゼロ、完全に室温でしたが、体深部と外気の熱でに挟まれ、冷えた体表がみるみる温まるこの感覚…温度が均一に近づくにつれて自然と目を閉じ、頭が空っぽになっていく! だいぶ掴んだ気がする! あと、椅子の座り心地もよかったような気がしますね。
【5セット目】5セット後の風呂が最高説
5回目ともなるとサウナ室にいる人がだいぶ顔なじみになり、所作や定位置が見えてきました。なるほど、確かにサウナに行くたびにそのへんが見えて、経験値はたまっていきそうだ。分析しているとあっというまに6分経過です。
さきほどの椅子で感じたととのいを求めて、水風呂はサッと済ませて着席。う~ん、なにかがちょっとたりない…もどかしさを感じていると、すぐ横のシャワーブースで若者がはしゃぎだし、集中力が途切れました。
今日はここまでだな! 最後に風呂入るか! …肩までつかったときの気持ちいいこと! 風呂にはいって最初に絞り出される「あぁ~」という声が出てしまう状態、これが永遠に続く感じだ…! え!? これがととのい!? パイセンがいうととのいとは違う世界のととのいなのかもしれません。
こうして初のととのいチャレンジは終了しました。ととのったのかととのえていないのか、よくわかりませんでしたが、いろいろな発見がありました。
わかったこと
スタートラインに立ちました
サウナはもうちょい熱めで水風呂は20~23度くらい、外気浴もぬるめぐらいが自分には合っているようです。このように先人のサウナー達は自分なりのスタートラインを見つけてから様々な施設に行き、居合わせたサウナー達を見て、自分に合う温度を見定めてきたのでしょう。今回最大の収穫は自分のスタートラインができたことなのだろうと思います。
ビジネスととのいはない
今回、ととのいを体験したいという、サウナ→水風呂→外気浴の繰り返しの先にあるものを求めたわけですが、ぶっちゃけこの考え方が甘かったのではないかと思いました。サウナ好きのかたはサウナが好きではいって、その結果ととのうわけです。ととのうためにサウナにはいるというよりは、楽しんだ結果ととのっている。前提が違っていたのです。
暖と冷のバランス
今回一番の失敗はコレっぽいです。水風呂&クールダウンが長くなってしまい、6分のサウナでしっかりと芯まで温められなかったように思います。それぞれの温度を考えたうえで滞在時間を調整する必要があるんですね。当然個人差やその日の調子が影響するので、経験値がないと埋められない部分のようです。
人それぞれのととのいがあるっぽい
サウナ→水風呂→外気浴を〇セット繰り返すととのう。どうやらそんなに単純なものではないようです。私は「極端な温度差の後、緩やかに常温に戻る」このときにリラックス=ととのいがやってくるように思いました。外気浴も涼しいほうがいい人もいれば、常温くらいでちょうどいい人もいる。様々なととのいかたがある以上、ととのいの内容も人それぞれなのではないでしょうか。そりゃあ口で説明するのは難しいですね。
最後に…まずはサウナの楽しみ方を知りましょう!
ととのってみたい…そう思ってこの記事を読んでくださったみなさま、まずはサウナに滞在する時間そのものを楽しむことが大切です。そして自分好みの温度感を見つけ、誰のものでもない、自分だけのととのいと出会いましょう!
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