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第2回、新・湯治セミナー うちって何ツーリズム目指してんの?

環境省主導で新しい温泉地の滞在について考える「チーム 新・湯治」のセミナーに参加してきました。第2回のテーマは「温泉地をリフレッシュできる環境に再生する」です。

新・湯治について、いただいた資料にわかりやすい文言があったので、掲載させていただきますね。

現在のライフスタイルに合った温泉の楽しみ方。従来の湯治のイメージであった「温泉入浴を中心とした療養」を含みつつ、より積極的に周辺の自然環境や歴史・文化、食等に触れるようなプログラムを経験し温泉地全体を楽しみながら心身ともにリフレッシュすること

とのことです。端的に言えば「地域の資源を活かしましょう」、というイメージが近いでしょうか。当たり前のことのように聞こえるかもしれませんが、その資源で人を遠方から呼ぶというのは結構難しいです。しかも多かれ少なかれ、お金が必要ですよね。

さて、今回北海道の阿寒湖温泉のかたからお話をいただきました。頭に残った部分をいくつか紹介させていただきますね。
※私の主観、捉え方が存分に含まれています。そのまま温泉地からの言葉と捉えないよう、よろしくお願いいたします…

阿寒湖温泉について

阿寒湖といえばみなさんご存知、まりも。もはや北海道を代表する観光資源ではないでしょうか。ちなみに、まりもは丸っこい形を形成している藻一本一本のことを指し、丸い形をつくるのは極めて珍しいことらしいです。
そんなまりもの産地、阿寒湖は、湖畔に単純泉、硫黄泉が湧いており、阿寒湖温泉として10数軒の宿泊施設が営業しています。

「今どこにいるかって? どこだっけ?」

阿寒湖温泉に宿泊していたかたがロビーで電話をしていたそうです。

「旅行楽しいよー、うん、え? 今どこにいるかって? えーっと……わかんない! どこだっけ?」

ご登壇された方は「阿寒湖温泉に来ているのではなく、宿に泊まりに来ているんだなと思った」とおっしゃっていました。
「個性がない温泉地」……捉え方としてはそうなのかもしれません。ただ昨今の旅行動機って、実際そんなもんなんじゃないかなとも私は思います。距離と交通費の兼ね合いで絞りこみ、よさそうな料理が食べられる、よさげな温泉、よさげな街並み、観光名所……それで選んでるんじゃないでしょうか。あらためて考えると悲観することではないような気もしますね。とはいえ

「いま〇〇に来ていてね、この後名物の□を食べて、明日は△体験するんだよ!」

って言ってくれる人は、間違いなく記憶に残り、よかった体験を拡散させて、まちに落とす金額も大きいことでしょう。こういうお客さんを増やしたほうが、温泉地としての存続にはいいことなのだと思います。そのためにやったことが次です。

阿寒湖温泉の決断、入湯税の超過課税

温泉旅館に泊まるとしれっと領収書に書かれている入湯税。150円が一般的でしょうか。阿寒湖温泉では現在、入湯税が250円の宿があるんです。
これは地域で策定した阿寒湖温泉・創生計画2020というまちづくり計画を実行するために、財源をどう確保するかという難題に立ち向かった一つの結果です。
100円の値上げ、安いもんかもしれませんが、100円値上げするか! という単純な問題ではないはずなんです。宿泊料金は変えず、全額負担したところもあることでしょう。負担は負担なんです。
そう考えるところもあるなかで、これが実施されているということは「地域全体で合意を得ている」ということですよね。これがすごい。人それぞれ考え方が違う中で、阿寒湖温泉をよりよくしたいという思いがあってこそだと思います。

アドベンチャーツーリズム

※写真はイメージです

入湯税を始め、様々なサポートを得た阿寒湖温泉は、果たしてどこへ向かうのか。「アドベンチャーツーリズムの聖地」です。日本を飛び出し、世界から人がやってくる温泉地へと変わろうとしています。ちなみにアドベンチャーツーリズムの定義づけはコチラ↓
https://www.tourism.jp/tourism-database/glossary/adventure-tourism/

具体的な事例として冬の阿寒でしか体験できない原自然をガイドとたっぷりと楽しむプレミアムコースが2019年2月からスタートするそうです。具体的な内容は不明ですが、5~6時間のコースで地元産品の昼食付で1名18,000円から。かなり高単価なツアーに見えますが、阿寒の自然は阿寒にしかなく、ガイドがいないと知りえない情報はたくさんあるわけです。自然が好きな人から見れば、決して高くはないのでは…?

財源確保というなかなか通過できない関門を突破し、お客さんへ提供する具体的な商品が誕生している真っ最中です。「アドベンチャーツーリズムといえば阿寒湖!」みんながそう認識する日も近いかもしれません!

終わりに…○○ツーリズムに当て込むと目指すところがはっきりする

いまやなんでもかんでも〇〇ツーリズムと呼ばれますよね。農村で余暇を過ごす「アグリツーリズム」、戦争などの悲しい記憶を継承する「ダークツーリズム」…本当に多様化しています。旅行プランを用意する側も、こういった言葉の扱いは重要なのではないでしょうか。自分の取り組みが何ツーリズムに該当するのかを理解しておくと、その分野に興味がある人のアンテナにひっかかりやすくなります。

私が運営している都市湯治の場合、自身と対話、参加者と対話が主になるので「カンバセーションツーリズム」「ディープシンクツーリズム」←結構気に入っている って感じになりますかね。このキーワードになにか引っ掛かりを感じたかた同士でこの言葉を使い、一般的に知られていく。そのためにはツーリズムの定義づけは有効かもしれませんね。

最後までご覧いただきありがとうございました!

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